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Lee-Byung-hun addicted

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第5話

Femme de ma vie ~Homme de ma vie <5> 

「おはよう~」スタッフに声をかける揺。

彼女は朝から上機嫌だった。

夕べは最高の夜だったから。

ビョンホンはしっかり夢の中に出てきて彼女を思いっきり愛してくれた。

メールの返事を出していないという心配事も解消したし、

揺は今日から俄然戦闘モードで頑張れそうな気がしていた。

「お早うございます。揺さん、今日はいつも以上にお元気ですね。」

スタッフにそういわれると夕べの出来事を見透かされているようで

何だか恥ずかしかった。

「そうかしら。いつもどおりですよ。」揺は少し笑いながら答えた。

「あっ、そうそう。今日から手伝ってくれる現地スタッフがひとり代わりますからご紹介しておきますね。

韓国の方ですがフランス語が堪能ですから問題ないと思います。

こちら、カン・テヨンさん。こちら橘 揺さんです。」

「はじめまして。よろしくお願いします。」

「こちらこそよろしくお願いします。」

お互いにフランス語で簡単に挨拶を交わした。

「カン・テヨン」揺はなんとなく聞き覚えがある気がした。

(ビョンホンssiのスタッフと同じ名前だったかしら・・・)

あまり深く気にも留めることなく揺は早速彼女に簡単に仕事の内容や手順を説明した。

「わかりましたか?」


テヨンは実に効率よく仕事をこなしていった。

彼女のその仕事ぶりに揺は興味を惹かれた。


お昼の休憩時間。

揺が近所のマルシェで買ったバケットサンドを片手に戻ってくると

ロケ現場の隅でお弁当を広げているテヨンを見かけた。

「あ・・・ビビンバだ・・。」

揺はテヨンのお弁当箱を覗き込み明らかに恨めしそうにそういった。

「良かったら食べませんか?」

テヨンはにっこり笑ってお弁当箱を差し出した。

「えっ、いいんですか?うぁ~嬉しいなぁ~

韓国料理無性に食べたかったんですよ。」

そういうと揺は遠慮することなくバクバクとビビンバを食べ始めた。

「美味し~~~い。カムサハムニダ~。チョンマルマシッソヨ~」

にっこり笑って揺はテヨンにお礼を言った。

「韓国語話せるんですか?」

驚いたようにテヨンは揺に尋ねた。

「ええ、少しだけですけど。友人が韓国人なので。」

揺は食べる手を休めることなく答えた。

そんな揺を見てテヨンは笑った。

「何か可笑しいですか?あっ、これ良かったら食べてください。」

揺は買ってきたサンドイッチをテヨンに差し出した。

「コマスムニダ」テヨンは言った。

「ケンチャナヨーチョンマンエヨ」

と揺はビビンバをほおばりながら答えた。

パリの真ん中でそんな会話をしているのが妙に可笑しくなって

二人は声を揃えて笑った。

何だか気が合いそうだ。二人はお互いにそう感じていた。






その後、フランスロケはほぼ予定通りに進んでいたが

ある日アクシデントが起こった。

大邸宅でのパーティーのシーンの撮影を予定していたが

撮影場所として用意していた屋敷が急に先方の都合で撮影不可だという。

代替のロケ場所を急いで探さなければならない。

なかなか希望通りのところが見つからず揺たちが困っていると

「あの、私一箇所心当たりがありますけど

少し遠くてもよければ聞いてみましょうか」

テヨンがそう言った。

テヨンが紹介してくれたのはニースにある大富豪ボディエ氏のお屋敷。

多少パリから距離があるもののロケ現場としては最高のロケーションだった。

テヨンの紹介ということで難なく撮影の了解も取り付けることができた。

「テヨンさん、ありがとう。これで何とか少しの遅れで済みそうです。

でもマダムボディエとどんなお知り合いなんですか?」

何気なく揺がした質問にテヨンは「昔お世話になったことがあるんです。」とだけ簡単に答えた。

詳しく話したくなさそうな雰囲気を感じ

揺もその件についてそれ以上尋ねることはなかった。





「お疲れ様で~す。」

そういいながらビョンホンは上機嫌に事務所のオフィスに入ってきた。

「ビョンホンssi何か今日いつもよりご機嫌じゃないですか?」

そうスタッフが話しかけると

「えっ、やっぱわかる?いやぁ~~~わかっちゃった?」

そういいながらビョンホンは話しかけたスタッフに後ろから抱きついた。

「僕に抱きついてどうするんですか。

あっ、さては揺さんから連絡がきたんでしょ。」

ビョンホンと揺のことは事務所のスタッフは周知の事実。

皆、CAAの件でお預けを食った二人を温かく見守っていた。

「そうなんだよ。夕べは久しぶりに夢にも出てきたし。あ~もう最高。」

ニタニタにやけるビョンホンを見て

「高校生の乙女みたいっすね」スタッフは笑いながらつぶやいた。

「なんとでも言え」ビョンホンは上機嫌で椅子をグルグル回しながら鼻歌を歌っている。

そこにワンモ理事が現れた。

「ビョンホンちょっと」

「なんですか?」

ビョンホンは上機嫌のまま隣の会議室に呼び出された。


「次の仕事の件なんだけどいい加減、発表しないといけないんだが、

どうしても先方とのスケジュールの調整が上手くいかないんだ。

ファンも待っているし。昨日の日本の公式ファンクラブのBBSの話聞いたか?」

ワンモ理事は心配そうにそうビョンホンに尋ねた。

「ああ、あの話ですね。」

ビョンホンはちょっと困ったような顔で答えた。

「智のヤツあんまりファンの皆がいろいろ心配してるから

良かれと思って書き込んだらあんなとんでもないことになっちゃって。

もう「DARI_Chingu」になるの懲りちゃったらしい。

もうファンも相当イライラしてるから。

お前からなんかコメントするか?」

「・・・・はっきり決まってないことを発表してがっかりさせたくないから

もうちょっと待ってもらいましょう。

きっと僕のファンの皆さんは待ってくれますよ。

僕は待ってくれるって信じたいです。」

ビョンホンはかみ締めるようにそう答えた。

「しかし、智には悪いことしちゃったなぁ」

ビョンホンは彼のことを心配していた。



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